慶應日記@はてな・乙

慶應義塾大学・通信教育課程・法学部・乙類・70期・学士入学の学習記録・復習ノートなどなど。こちらでは乙類の科目(政治学)を扱う予定です。

Fukumoto_et_al-2015-Legislative_Studies_Quarterly

 

"The Effects of Election Proximity on Participatory Shirking: The Staggered‐Term Chamber as a Laboratory"

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/lsq.12090

http://www.orsj.or.jp/archive2/or62-10/or62_10_671.pdf

自然実験として,日本の参議院の半数改選制度を扱った研究

<背景>

>一般的に,選挙活動と議会活動は二律背反の関係に立つ.すなわち,議会活動に忙しくしていると選挙活動が手薄になって落選のおそれが出てくるが,選挙活動にかまけてばかりいると肝心な議会活動が疎かになって何のために当選したのかわからなくなる.


<仮説>

>そこで一つの調整の仕方として,選挙が近づくと選挙活動に重きを置き,議会活動の量は下げるが,それを補うために議会活動の効率性は上げるのではないかと考えられる.

<使用データ>

>議会活動の量については,国会における出席日数,発言日数,発言文字数を調べた.
>また議会活動の効率性としては,出席日当たりの発言日数と発言日当たりの発言文字数に焦点を当
てた.
>これらのデータは国会会議録をスクレイピングして入手した.

<留意点>
>改選組であっても,もともと引退するつもりであれば,来る選挙に向けて議会活動を調整する誘因に欠ける(一般に非遵守と言われる問題である).
>来たる選挙で再選に向けて立候補するつもりであるか否かを操作変数法を用いて考慮した.

>議員の固定効果と,選挙区・政党・選挙年の固定効果を制御したことだ.これらにより,議員の学歴や経歴などの個人属性,定数や政党支持などの選挙区属性を制御し,改選の有無が及ぼす影響をより鮮明にできる

<結果>

>すると予想どおり,参議院議員の改選組は非改選組と比べて,議会活動の量は少ない.具体的には,出席日数は 14 日少なく,発言日数は 3 日少なく,発言文字数は 15,000 文字少ない.他方で,発言するとなったらその機会を有効活用して長く話している(発言日当たりの発言文字数が 500 文字多い)